会員がつづる雅楽つれづれ
高校生と雅楽と、わたし

 わたしが、高校生に雅楽を指導するようになって、この4月でちょうど5年になります。この区切りの機会にひとつ、学んだことを書かせていただきます。



 大学を卒業して、高等学校に籍を置き「雅楽部」の講師から始めたのですが、ハッキリいいまして「高校生には雅楽はまず無理」という頭がありました。というのも、大学時分より臨時講師として高校に何度か足を運んではいたのですが、集中力散漫、唱歌はうたわない、吹いても音程を合わせるなんてこともままならない、という状態でした。
 世間では新聞紙上を「17歳」が賑わておりました。雅楽には音律面の難しさや、独特の間合いがありますが、やはり彼らには無理なのか、やる気がないのか……かく言う自分も高校生の時は人に言えたものではありませんが。雅楽そのものも、大学に入ってから始めたものの「いかにサボるか」に気を回していましたから。少なからず「興味」を持ち始めたのも、3回生になってクラブの幹部として「やらざるを得なかったから」というのが正直なところでした。
そんな中、いざ高校生に指導を始めてみれば案の定、ただ音を並べているだけのモノでした。



 ところが、「まじかよ!」と不足に思いながら指導していると、そすぐにれが「間違いだった」というのが見えてきました。実は彼らはものすごく「研究熱心」だったのです。
 学生と同じ寮での生活のため、夜な夜なわたしの部屋に来てはその日の稽古で分からないところを聞きにきたり、自主稽古をしたりと、おおよそわたしの描いていた高校生の姿ではなかったのです。聞けば、今まで自分たちだけで試行錯誤していたとか……。



 考えてみれば、「高校生」という時期はスポーツの世界はもとより、音楽をはじめさまざまな分野において世界を舞台に活躍している者が多数いる、また、それがかなう時期なのです。事実、彼らの吸収の速さは目を見張るものがありますし、なによりも迷いがありません。ただ、足りなかったものは「面倒を見る人」だったのです。
 ある日、「何かして欲しいことは?」と聞いた時、「講師を定期的に呼んでください!」と。実は「やる気がない」のではなくて「やり方が分からなかった」だけなのでした。



 そうなってきますと、わたし自身、うかうかしていられなくなりました。それまで「強制的に」または「義務感」によって雅楽をしていたのですが、学生が積極的なのに、わたしが消極的ではあまりにも「カッコつかない」。それまで雅楽は「自己満足できさえすればそれで良い」という思いでしたが、まあ結局は「義務感」なんでしょうが、「みんなが楽しくなるため」に雅楽をしようかな? と思うようになりました。日々の稽古ではその場が、演奏会では聴いてくれる人と。
 そんなこんなで、今ではすっかり「ホビーな雅楽」となりました。そして、卒業生たちもそれぞれの進路先で、それぞれの形で雅楽を楽しんでくれています。ますます、うかうかしていられなくなってきました。
(by minoru)

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