会員がつづる雅楽つれづれ
「篳篥の唱歌について」  CD解説より

T、唱歌について
@唱歌を歌う姿勢と基本
 唱歌を歌うときは、正座もしくは楽座で行います。椅子の場合も、姿勢が崩れないように、座ります。
 拍子の取り方は、右手と右膝を使います。
 まず、膝うえを二回、前と後を一回づつたたき、膝横を二回、前と後を1回づつたたきます。
膝うえの二拍を表拍子と言い、膝横の二拍を裏拍子と言います。当然、右腕を移動させますから、膝うえから膝横に動く事により、二拍目から三拍目にかけて少し延びます。また、その逆で膝横から膝うえに帰るとき、四拍目から一拍目にかけて少し延びます。この少し延びることを、間と言います。
 洋楽と雅楽の拍子の取り方の大きな違いは、ここにあります。右手を移動させて拍子をとることで、自然に延びて、間ができるということです。
 この方法は、笙も龍笛も同じです。間が出来ることで、曲が少しづつ早くなるのです。

A譜面の見方
 元来、雅楽の譜面は手付け、つまり指穴を押さえる手の記号で表記されていました。それには、唱歌が書かれていませんでした。現在使用している譜面は、カナ譜と言い、明治に作られた譜面です。
 譜面の真ん中に唱歌がカタカナで書かれてあります。カタカナの途中に白丸がありますが、これは、息継ぎをする目安です。しかし、これを無視して唱歌を歌う場合もありますから、気を付けて下さい。
 唱歌の右側には、拍子を表す大きい黒丸と小さな黒点が書かれてあります。黒丸・黒点の付いているところが表拍子の二拍を表します。その下の何も付いていないところが、裏拍子の二拍を表します。この黒点・黒丸は打物や弦楽器を入れるときに目安になります。
 唱歌の左側には、楽器を押さえる記号・手付けが書かれてあります。その記号でおおよその音程は分かります。しかし、手付けだけでは、演奏すべき旋律は分かりません。同じ手付けでも、音程が異なることがあります。それは、唱歌で覚えます。手付けの名前及び音程の呼び名は、天理教道友社出版の篳篥の譜面を御覧下さい。
 また、篳篥には、譜面で表記出来ない旋律があります。それは譜面には書かれていません。その篳篥独特の旋律があるから、篳篥は面白い楽器なのです。唱歌を練習するとき、特に注意して覚えていきましょう。

B唱歌の歌い方
 唱歌を歌うときの声の出し方は、腹式で息をしながら、声を出します。音をまとめて、腹から声を出します。
 どうしても、喉を絞りがちになりますから、喉を絞らずに逆にあけて、声を出します。出来るだけ大きな良い声で、まとまった音で、芯のある声で唱歌をします。
 次に、拍子の強弱ですが、拍子は四拍で、一番強いのは一拍目で、次に強いのは三拍目です。つまり、表拍子の一番目が一番強く、裏拍子の一番目がやや強いのです。
 また、拍子が二拍であるからと言って、一拍づつ音を押して、拍子はとりません。
同じ音を歌っている場合、例えば、ターと二拍目は音を引っ張ります。唱歌自体で、拍子をとりながら歌いません。拍子をとるのは、あくまで右手でやります。

C唱歌の歌うときの切り方
 唱歌を歌うとき、息継ぎの為に歌を切ります。
 それには、二通りあります。表もしくは裏の二拍歌って切る場合を、延切りと言います。逆に、二拍の中で割って切る場合を、アテ切りと言います。

D唱歌の注意点
 唱歌はカタカナで表記されています。はっきりと発音しましょう。特に、ハ行の音、ハヒフヘホの発音は、ファ・フィ・フ・フェ・フォと発音します。
 また、同じ音を伸ばしていて、三拍目も同じ音でアとかタとかがあれば、そのカタカナを言い直します。これが、オシになります。
唱歌には、篳篥独特の旋律があります。音を弱めて強く押すオシ・音を大きく下げ、回し上げるエンバイ・音を少し回すマワシ・音を基本の音より下げることをメル・音を上げることをハル・細かく音を押すことをアテルなどがあります。

E唱歌が大切な理由
篳篥は、曲の主旋律を演奏いたします。それだけにきっちりと拍子をとらなければなりません。拍子の間を自然にとりながら、篳篥独特のメロデイーを歌っていきます。唱歌で旋律を覚え、それを同じように楽器で演奏します。唱歌が正しくないと演奏自体が不安定になります。
 また、雅楽の合奏は、個々の楽器の掛け合いで、演奏が成り立ちます。その掛け合いで篳篥が他の楽器に出す意思表示の基本が、唱歌です。例えば、音を長くのばす場合と、細かな手付けでゆったりと大きく音を回す場合と、逆に細かな手付けであるが素早く音を回す場合など場面が色々とありますから、唱歌をしながら覚えていきましょう。

(by きっさん)

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