「振鉾(えんぶ)」

振鉾
 皆さん、あけましておめでとうございます。
 さて、新しい年を迎え、今月の一曲は、振舞について解説したいと思います。
 振舞は、左方と右方の舞振りがあります。古来から、左方は男性的で力強く、右方は女性的で柔らかい舞振りであるといわれています。
 舞振りの大きな違いは、足の摺(す)りに見られます。左方は一度足を上げてその位置より下へ落として摺り足をします。しかし、右方は足を上げず、摺る方の足を前に出して踵(かかと)を立ててからすり足をします。左方は足を上げますから、ダイナミックに動きますが、右方は踵で立てるだけですから、しなやかに見えます。

【曲の由来】

 周の武王が、殷の紂王(ちゅうおう)を討たんとしたとき、商郊の牧野で左に黄鉞(こうえつ)を杖とし、右に白旄(はくぼう)をとって戦勝を天地の神祇に祈った様をかたどって舞としたと伝えられています。
「厭舞(えんぶ)」とも書き、「戦勝の舞」とも言います。古くには悪魔調伏の寿詞を誦唱したともいわれています。
 現在では、舞楽が始まる前の清めの役割を果たしています。

【形 式】

 振舞は、正式には振舞三節(さんせつ)といいます。
 まず、左方の舞人が一節を舞って降台し、次に、右方の舞人が二節を舞って降台します。最後に、左右二人の舞人が登台し一緒に三節を舞います。これを合鉾(あわせぼこ)といいます。
 この時、伴奏として、一節の時には龍笛で新楽乱声を吹き、左方の大太鼓を使います。二節の時には高麗笛で高麗乱声を吹き、右方の大太鼓を使います。三節の時には、龍笛と高麗笛、左右の大太鼓を同時に奏します。

第二節(右方)

【衣 装】

 左方の舞人は、左方襲装束(かさねしょうぞく)で赤い袍(ほう)を着て、右肩を脱ぎ、それを腰に巻き、金色の鉾(ほこ)を持って鉾鰭(ひれ)は紅地金襴に三つ巴の金金具が付けてあります。
 右方の舞人は、右方襲装束で緑の袍を着て、右肩を脱ぎそれを腰に巻き、銀色の鉾を持って鉾鰭は緑地銀襴に二つ巴の銀金具が付けてあります。
 この舞は、昔から長老がつとめるようです。舞楽が始まる舞台の清めと場作りには重要な役割を持っています。

(by きっさん)
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