「五常楽(ごしょうらく)」

五常楽

【曲の由来】

 一般に、舞楽を演じるとき、舞振りすべてを行う、略さず行うことを「一具(いちぐ)」と言います。
 ですから、五常楽一具と言えば、五常楽序(序吹き 拍子八)、五常楽破(延八拍子 拍子一六)、五常楽急(早八拍子 拍子八)一帖(じょう)から三帖までという非常に長い大曲となります。
 また、一具のうちに舞台上で詞を謡った詠(えい)という法もありました。いまも譜面にはありますが、この法は絶えてしまいました。

【装 束】

 五常楽の装束は、左方蛮絵(ばんえ)装束を用います。同じ装束を使うものに、「春庭花(しゅんていか)」「桃李花(とうりか)」「喜春楽(きしゅんらく)」があります。
 五常楽は、冠に花は付けず、腰に太刀を差しません。喜春楽と同じ着付けをして舞台に上がります。喜春楽は舞の途中に片方の袍(ほう)を脱いで舞いますが、五常楽は最後まで脱ぎません。

【舞振りについて】

 序は、ゆったりとメロディに合わせるように舞われ、太鼓の部分で舞振りをきっちり合わせていきます。破は、唱歌に合わせて舞われます。ゆったりと由利吹き(ゆりぶき)をしながら舞われます。急は、拍子も早くなり4/4の拍子に乗って、軽快に一帖から少しずつテンポを上げながら、三帖へとあがっていき、最後に舞台から退場するにあたり、入綾(いりあや)という舞人が一列に並んで舞いながら退場する舞振りを行い、退場していきます。
 ちなみに、五常楽の急の一帖と迦陵頻急(かりょうびんのきゅう)の一帖とは同じ舞振りです。迦陵頻急は子供が舞うため手付けが簡単にしてあります。

【五常と五音に関して】

 五常(仁・義・礼・智・信)がどの音程と関わっているのかとの問題ですが、私的にはこう考えます。
 雅楽には、宮(きゅう)・商(しょう)・角(かく)・微(ち)・羽(う)という 五音の和名があります。どの調においてもこの五音にて構成されています。
 特に、催馬楽(さいばら)や朗詠(ろうえい)の墨譜での表記はすべてこれで行われています。
 音の基本形がまさにこの五音ではないのかと考えます。何かご意見がありましたら一報ください。

(by きっさん)
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