「萬秋楽(まんじゅうらく)」

萬秋楽
 秋にちなんだ代表的な舞といえば「萬秋楽」でしょう。
 これ以外に秋の名が付く曲は、「千秋楽(せんしゅうらく)」「秋風楽(しゅうふうらく)」などがありますが、千秋楽は曲のみで舞が伝えられていません。また、秋風楽は源氏物語にて名が出てきますが、明治選定譜にはありません。しかし、墨譜は天理大学の付属図書館にあり、天理教音楽研究会で、すでに復曲されています。

【曲の由来】

 後漢の明帝(57~75)が仏教を迎えたとき、インドの僧侶が経巻を白馬に乗せ、この曲を奏しながら入国したと伝えられています。
 日本には、聖武天皇(724~749)のころ、林邑(りんゆう)僧侶・仏哲(ぶってつ)によって伝えられたといわれています。また一説には、日本に伝えたのは、婆羅門僧菩提(ばらもんそうぼだい)であるとの説もあります。別 名は、慈尊楽のほか25くらいあります。

【四箇大曲(しかのたいきょく)】

 雅楽には曲の構成と編成から、小曲・中曲・大曲の区別があります。
○小曲とは、基本的に4/4拍子ものが多く、当曲(とうきょく)のみで、演奏時間も10分から15分位 です。
○中曲とは、小曲よりは長く、4/4・6/8・8/8拍子ものが多く、「序」「急」の形式のものもあり、演奏時間も30分から45分くらいのものです。
○大曲とは、まさに構成が大きく、「序」「破」「急」が基本の型で、それ以外に独自の曲風が催されています。
四箇大曲とは、「蘇合香(そこう)」「萬秋楽」「春鶯囀(しゅんのうでん)」「皇じょう(おうじょう)」の四曲のことを言います。
「萬秋楽」の構成は、序が拍子18、破が拍子18で一帖(じょう)・二帖・二帖換頭・三帖・三帖換頭・四帖・四帖換頭・五帖・六帖の編成であります。
 また、五帖の半分からリズムが倍になり、演奏の方法が於世吹き(おぜぶき)という独特の奏法となります。
 以上の一具(いちぐ)を演奏すると時間は2時間から2時間30分くらいはかかります。

【舞振り】

 この舞は、左方の六人舞です。舞自体は非常にむずかしく難舞の一つで、普段から修練していないと舞えません。また、経験の集積的なところがあり、充分な練習と他の舞の手足振りが必要な舞です。

【装束】

 着ている装束は、左方襲(さほうかさね)の諸肩(もろかた)脱いだ着装形態です。甲(かぶと)は、別 甲で和紙の張り合わせに、桐・竹・唐草の地紋のある金襴を張り、その上に無地の金円を3枚張ってあります。  気になるところは、桐の紋様は、よく菊と同様に皇室の紋様とされ、神紋にも用いられていますが、なぜ桐・竹・唐草という紋様なのかという疑問が湧きます。ご存じの方居られましたら、お知らせください。
(by きっさん)
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