「春庭花(しゅんていか)」

春庭花

【曲の由来】

 この曲は、中国からの伝来の曲です。言い伝えでは、唐の則天武后(690~705)の長寿年間(692頃)に作られました。その後、日本への伝来は桓武天皇の延暦年間(782~805)に遣唐舞生の久礼真蔵(くれのまくら)が伝えたと言われています。誰によって作られたかは不明です。この舞は、一時中絶したものを承和年間に勅により和邇部太田麿(わにべのおおたまろ)、犬上是成(いぬ がみのこれなり)らが再興したといわれ、東宮冊立の式(立太子礼)に演じられるのが通 例となっています。

【春庭花と春庭楽】

 この舞は、左方四人舞の平舞です。楽曲を一帖のみで舞う時を「春庭楽」といい、一帖・二帖を続けて舞う時は「春庭花」といいます。一説には、春庭花は太刀をつけて舞い、春庭楽は不袒で太刀をつけず、挿頭花(かざし)なしで舞うとも言われています。

【装束について】

 この舞の装束は、左方蛮絵装束(ばんえしょうぞく)で腰には太刀をつけ、背中には笏(しゃく)を入れ、挿頭花を付けた冠をかぶります。蛮絵装束の色は、檜皮色精好紗地に獅子が向かい合う形で刺繍がしてあります。一見、茶色に見えますが茶色では無いようです。
左方蛮絵装束は、五常楽(ごしょうらく)や桃李花(とうりか)や喜春楽(きしゅんらく)や央宮楽(ようぐらく)と同じですが、大きく異なる所は太刀を付けるのはこの曲しか無いところです。なぜかという理由は分かりません。
また、左方蛮絵装束に獅子の図柄が使用されているのかという疑問も出てきます。

【舞振りについて】

 この舞は、入場が双調調子にて入手を行い、舞台へ上がり、向い合いに位置します。当曲は、一帖は延拍子の特徴を生かして由吹きをしながら非常にゆったりと優雅に舞われます。一帖後半から二帖にかけて次第にテンポが上がり、二帖に入ると順次四人の舞人が位 置を変えながら、花が開いたりしぼんだりするようにぐるりと回っていきます。これが大きな特徴です。退場は、調子にて出手を行い、その後退座します。
(by きっさん)
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