「蘇莫者(そまくしゃ)」

蘇莫者
「蘇莫者」のほかに、「蘇莫遮」など数種の字が当てられます。

【曲の由来】

 楽曲の由来は明らかではありませんが、おもに以下の二説が伝えられています。
1、聖徳太子が信貴山に行くとき、尺八を吹いたところ、山神が現われて舞ったものを、四天王寺の楽人がこれを元にして舞を作ったという説。
2、役行者(えんのぎょうじゃ)が笛を吹きながら大峯(おおみね)を行くと、その曲に感じて山神が舞ったという説。
 他の説に、ソマクシャとは、高昌国(現在の新疆ウイグル自治区トルファン)の女性用の帽子の名で、曲芸や手品を内容とする散楽の曲であったとも、あるいはサマルカンド(ウズベク共和国)地方の雨乞いの曲であったともいわれます。

【曲と舞振り】

 舞が始まる前に、舞台上に太子と称する笛の主奏者が、唐冠をかぶって、舞台上手に立ちます。その後、楽頭の音頭(乱声)を吹き出します。入場の始まりです。
 この曲は、入場はほかの走り舞と同じように、太鼓と龍笛の乱声で舞台上に出てきます。
 続いて、序です。メロディーに合わせて、ゆったりと舞いますが、舞振りは非常に滑稽で、どちらかと言うと猿人の動きのようです。ゆったりとした動きの中に、機敏な動きが見受けられます。それが何ともおもしろいです。
 続いて、当曲です。拍子は夜多羅拍子(やたらびょうし)の五拍子です。
 軽快なリズムで楽が奏される中、舞人はそのリズムに合わせ、おもしろおかしく舞っていきます。中盤では、舞台中央の後から前に走り、まるで猿人が飛び跳ねている様子を表していて、この舞の独特のおもしろみが味わえます。

【面と衣装】

 面は、山神の顔を表したものといわれます。猿のようで、口を開け、赤い舌を出し、顔全体が金漆塗りで仕上げてあります。また、非常に長い髪が植えてあります。多分、舞楽面で一番長い髪の毛であると思われます。
 牟子(むし・面につける帽子)は紅地金襴で、牡丹と唐草の地紋が織られています。手には、桴(ばち)を持ちます。桴は木製でキノコか? ゼンマイのような形をしています。山のキノコを束ねたような形です。
 裲襠(りょうとう)装束は、鷹を図案化して刺繍してあります。さらに裲襠の上に蓑(ミノ)を着ます。三角形に生絹が植えられたものです。天理大学雅楽部では、皮の蓑を付けます。

【舞の口伝】

 この舞は、四天王寺の薗家の伝承の舞でした。一子相伝の曲です。
 舞人は、経験豊富な人で無ければ舞いきることは難しいですし、舞の動きに対応できうる堅固な身体の持ち主でなければなりません。
 これ以外にも、胡飲酒なども秘曲とされていましたが、現在は一般でも習うことができます。簡単ではありませんが。
(by きっさん)
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